鍼灸治療は、どんな疾患に〔鎮痛効果〕があるのか？
⇒〔針灸治療によるペイン・クリニック〕
原因不明の痛みでも、鍼灸治療で和らげることが出来る。悪性腫瘍や外科的手術が必要な疾患以外の「あらゆる痛み」に、鍼灸治療は鎮痛効果がある。特に「現代医学が苦手とする痛み」の治療は、東洋医学が得意とする領域である。
過去約４０年間の臨床経験から、下記の病気には著しい治療効果がある。特に現代医学では治療が困難と感じる疾患でも、治療効果がみられるのは特異的である。
1・全身の運動器疾患の鎮痛効果
器質的異常があっても、なかっても、あらゆる部位の関節痛、運動器疾患（筋肉痛や打撲、捻挫）に効果があり、しかも即効的である。つまりその場で70～80％の痛みは軽減出来る。兎に角、部位はどこであれ、筋肉痛や関節痛は鍼灸治療の出番である。
従来の様に、内服薬を処方すれば、内服してから効果が表れるまでには一定期間のタイムラグがある。しかし患者さんに刺針療法した後、玄関を出る時にすでに痛みは大幅に軽減している。だから時たまに、来院する時に持ってきた杖を忘れて帰っている例もある。
また、不思議なことに刺針療法の後に、器質的な異状がある例でも、鎮痛効果が比較的長時間通続いていることがある。この様な現象は刺針することで、不通になっている部位が改善されるので痛みが軽減又は消失するものと考えられる。一方、内服薬による鎮痛効果は薬の効果時間が過ぎれば、痛みは再び現れる。
2・あらゆる部位の手術後の痛み
例えば、椎間板ヘルニアや腰椎すべり症などで、手術してからもまだ腰痛を訴えている例にも、刺針することによって痛みを大幅に軽減することが出来る。
この様に、たとえ骨に異常があっても、病名にこだわることなく、針灸治療で治療すると、痛みを軽減することが出来る。これは身体のあらゆる部位の痛みに応用できる。
3・「原因がハッキリしない痛み」
現代医学から見て「痛みの原因が不明」である場合でも、刺針により痛みを軽減出来る。しかし東洋医学から診ると、異状があるから痛むのである。痛みは、気血水の流れに障害があるから、痛むのである。
4・「運動器疾患」スポーツ損傷(筋肉痛、捻挫、打撲、過労による関節痛など) ･･･即効性があるので、スポーツ中に起こった時にも、その場で対応できる。
5・頸背部疾患の痛み･･･ 頚椎症、むち打ち症、肩こり、首こり、寝違い等
6・肩の疾患の痛み･･･五十肩、肩関節痛、上腕挙上障害など。
7・腰背部の疾患の痛み･･･腰痛、坐骨神経痛、腰椎すべり症や腰椎変形症、腰椎椎間板損傷、腰椎ヘルニアなどの器質的異常があっても鎮痛効果がある。特に坐骨神経痛には即効性がある。この様な即効性のある鎮痛効果は現代医学では得られない。
8・膝関節部の痛み･･･変形性膝関節症、その他の膝関節痛、骨や関節に変形があっても、一時的ではあるが、鎮痛効果がある。骨組織に異常が無ければ、刺針により消退する。
9・痛風の激痛･･･刺針でも効果はあるが、局所へ刺絡をする方がもっと即効性がある。激痛のため歩行困難であっても、刺絡直後に大幅に痛みは軽減しするので、正常に歩いて帰ることが出来る。
10・帯状疱疹後の頑固な激痛･･･現代医学にはない即効性鎮痛効果がある。痛みの病歴の長短を問わず、あらゆる種類の針灸治療(施灸、刺針、火針)で鎮痛効果がある。
11・顔面神経麻痺･･･現代医学では見放された顔面神経麻痺でも、10～20回の治療で徐々に額から下方に顔面の筋肉の回復が確実に得られる。通常、表情筋の回復は顔面の上から下のへと回復していく。
刺針療法によって、随分多くの顔面神経麻痺の人々が回復していった。
12・三叉神経痛の激痛･･･徐々に鎮痛効果が得られる。鎮痛剤よりは遥かに根治性がある。刺針療法のたびに痛みは軽減してゆくが、完治するまでには1～2か月かかる。
13・自律神経疾患･･･頭痛、不眠、イライラなどの不定愁訴に速効がある。
14・精神的異常･･･自律神経失調症、うつ状態、不安、不眠などに、精神安定効果がある。
うつ病には、針灸治療は抗うつ剤と違い副作用もなく、比較的即効性がある。
15・線維筋痛症の身体の痛み、･･･現代医学ではお手上げで、「難病」として扱っているが、針灸治療で精神的な緊張と全身の筋肉痛は次第に軽減していく。東洋医学から診れば、〔線維筋痛症〕は決して難病ではない。
16・慢性疲労症候群･･･大部分は精神的不安定と疲労感とそれに筋肉痛を伴っている。針灸治療の中でも体力（気）を補う治療法・補の手技で治療すると疲労感は次第に改善する。現代医学にはこの様な効果は無い。
17・泌尿器科疾患による痛み･･･難治性の前立腺炎、慢性膀胱炎による会陰痛に効果がある。特に中極や会陰に取穴すると効果がある。
18・関節リウマチの関節痛
19・喉の痛み
20・肋間神経痛、心窩部痛など、内臓に重大な異常のない痛み。
21・口腔内の痛み･･･舌痛、歯痛、歯茎の痛みなど。
W・H・O(世界保健機関)による世界的な研究結果でも、針灸治療で効果があることは認められている。